不景気はハローワークにかぎる訳『地域密着/その場で電話』

不況時はハローワークの理由として、前回5つの特徴と1番目の特徴を挙げさせて頂きました。

その1:過去に取り扱った採用情報を全て開示してくれる

その2:地元密着型

その3:その場で担当者に連絡

その4:予約なしでいつでも相談可能

その5:心身のネガティブな要素について隠さず相談できる

本項は「その2:地元密着型」「その3:その場で担当者に連絡」をご説明申し上げたいと思います。

◆2『地元密着型』・非上場会社の情報はとりづらい

ハローワークは各拠点において求人情報を集めています、つまり就職サポート拠点とともに情報集めを行っています。
成り立ちとしても地元企業の経営サポートは主目的のひとつ。地域の中堅、または中小企業と特に近いです。
民間は、私も仕事上そうですが、出来れば大きな会社とおつきあいがしたい。

余裕で大手企業の内定を得られる方ならばいいのですが、そんな人はめったにいません。
そして就職、のちには仕事で非上場・中小企業向けの取引をすると実感しますが、上場企業以外の企業情報や活動状況を調べることはとても難しい。

労働人口からみても働き手の大多数が属するのは非上場の中堅規模・中小企業です。この分野の求人で情報を取る場合ハローワークは必須です。
以前ご紹介したとおり民間で紹介された案件もここで改めて地元の情報を再確認するべきです。

またここでは相談員が直接地元企業の人事担当者と会話することもあります。民間の人材紹介業者は、組織としてそれはありません。
企業と交渉するのは広告を集める担当者、つまり営業職の仕事です。
相当規模の大きい企業の募集でもアドバイザーはデータによって企業を知るだけです。

収益の高い成果報酬型の案件でもない限り人事担当と面談することはありません。
中堅・中小企業からの求人案件に至っては事前ヒアリングなどほぼ無いといってよいでしょう。

◆相談員も顔見知りにはより親切に

なおこれを期待する方がとても多いのですが、企業情報のうち悪い評判についてハローワーク・民間を問わず直接答えるところはありません。
風評を広めたと言われることは避ける、そもそも相談員レベルで情報が出回るほどの程度の悪い企業は求人受付を断られていますから。

とはいえ会社を選ぶ際、「グレーな」噂があれば聞きたいもの。
これはあくまで個人的な体験となりますが、足繁くハローワークに通っているとそうは言いながらもいろいろ聞けるものです。
特に地元企業の評判はやはり知っている。
但し条件があります

相談員と顔見知りになること、そして率直かつシンプルにご自身の現状を伝えること

隠すことなく頼ってくれる人の力になりたいという気持ちになるのは人の常ですから。

余談ではありますがこの「他人に自分の履歴を語る」ことは就職以外にも貴重な経験だったと思っています。
説明力の典型例というべきもので他人を前にして客観的に自分を語ることは簡単ではない。
人に会う仕事を20年ほどしておりますが出来る方はかなり少ないです。
改めて述べさせて頂きますが、このやり取りは後日自己PRを作成するとき役立ったとだけ申し上げます。

まあ本当のところ、相談員と顔見知りになるほど通う前にサクサク決まれば一番良いのかもしれませんが・・・そうもいかないのが平成、そして令和の不況というものでしょう。

◆3『その場で人事担当者に連絡』・ハローワークから掛ける電話でしか得られない反応がある

応募前には必ずハローワークより企業の人事担当者に電話でコンタクトすることになっています。
この時応募者の年齢・性別・その他大まかな履歴を伝えます。先方が了承すれば電話を代わって直接会話することも可能です。

何気なく行われている作業ですが、ここはポイントです。
一言でいえば色々な意味で話が早い。

こちらの条件へ対する第一印象を確かめることができる。郵送やWeb応募と異なり返信を待つ必要がありません。
消耗し易い就職活動にあって早期に可能性を見極め、無駄な負荷を大幅に減らせる機会です。

なおこれは自分で直接電話してもほとんど得られない情報です。

人事担当はハローワーク経由の電話ではある程度の本音を話します。求職者から直接掛ける電話には正直に答えません。

理由は、企業にとって不都合な条件である場合、相談員からの電話であればそれを代わりに伝えてもらえる安心感があるからです。
この時だけは、企業の人事担当は私たちが電話を代わって質問してもある程度答えてくれます。相談員が同席していると知っているからです。

会社にいて人事担当の電話の応対を見ていると良くわかります、担当者は相談員からの電話に対しては言いたいことをいいますが、応募者からの直接の電話には見るからに身構えて会話している。

後述にて詳しくご説明申し上げますが、ここでの反応は更に押すべき会社かどうかの判断材料になります。但し、

あくまで「判断材料」です、「否定的な反応=応募しない」ではありません

誤解される方がとても多いので。

なお担当者と電話が繋がらないとき、ハローワークの相談員は求職者に対し「後ほど自分で電話してください」と言います。
この状況は避けたい。

自分で電話した場合あるいは人事担当者が不在の場合、ほぼ例外なくこちらの質問には答えないまま「まず書類を送ってください」という返事が戻ってくるだけです。
本当は見込みのない案件で苦労して履歴書を書き、送る手間を考えてください。
10社もやったらへとへとです、精神的にも参ります。

もし上記の時間にハローワークに行って人事担当者が不在であった場合、再度訪問して相談員から電話してもらってください。
可能性の低い企業に履歴書を郵送する手間と待つ時間を考えれば効率は良いと思います。

別稿でハローワーク訪問の時間を選ぶことをお勧めするのも、電話をしてもらったとき人事担当以外の社員に対応されるのを防ぐためです。

◆電話ではネガティブ対応が普通、内容を落ち着いて見直す

なおここで強調させて頂きたいことがあります。
経験上、つまり

  • 就職活動時
  • 社員になってからの総務部門・人事担当者との会話

上記の双方からはっきり言えることですが

ほとんど全ての人事担当者は電話での問い合わせに対しネガティブな反応を示す

この前提で会話内容を理解するべきです。

就職活動慣れをしておられない方は(こんな慣れは本当はないほうが良いのですが)ここで少なからぬショックを受けてしまう。
無愛想だったり否定的な対応を受けると苛立ちや自信喪失のあまり「こんな会社は受けない」とすぐ決める人も多い。

しかしそんなことを感じる必要は全くありません、といいますより電話のやりとりに問題はないのに受け取りかたは失敗です。

人事担当は仕事とはいえ知らない人物と電話で会話するのです、身構えない人がいましょうか。これは面接でも言えることです。

もっと申し上げれば、人事担当と電話で話すとき、あるいは面接のとき、あなたは何の緊張も感じずに会話をしているでしょうか。
相手も同じです。

どんな会社の要求条件も全て満たす自信のある求職者であれば見送りもいいでしょうが、しかしそんな人はほぼ100%いません。

電話ではパッとしなかったが書類を見たら、あるいは面接をしてみたらよかったという人事担当の感想は多い。
実は電話の応答がパッとしないのではなく、人が電話を受けるとき(あるいは掛けるとき)の特性として

知らない人からの突然の電話では、ネガティブな点は強く印象に残るがポジティブな部分はほとんど印象に残らないのです。

人事担当の反応はあくまで「判断材料」であり「否定的な反応=応募しない」ではないとはこの点からです。
取る気のない会社への書類応募は本当に消耗するので避けたいのですが、せっかく電話が繋がったのですから相手の反応については良く考えてみたいものです。

  • 知らない人との電話による会話ということで身構えているのか
  • 電話で聞いた経歴を理解した上で、なお何かに満足しない結果の反応なのか
  • 相手の声の調子が変わったのはどの質問・説明・会話のタイミングか
  • 聞き返してきたこと・質問されたことがあればそれは何であったか。こちらの説明に対してどのような反応をしたか。

上記のような電話の応対内容、そしてハローワークが持っている過去の採用/募集データから推測して頂きたいのです。
その上で応募・見送りを決めてみてはと。多分自己PR・面接の内容にも影響があると思います。

◆分析に必要なのは「話を聞いてくれる人」

以前ハローワークのご説明において「情報はあるが分析はない機関」と申し上げました。
実はミスマッチとは各人の個性と企業の要望事項との差である以上、分析は自分でするしかないものなのです。
アドバイザーと称する方々もいらっしゃいますが、本質的に他人は関わることができない作業。

自分で考えるしかないものであるとすれば、手がかりを得るものとしてハローワーク経由で掛ける電話はかなり有用です。
無料ですし時間を確保しさえすれば何回でも可能です。どんどん電話で紹介していただき、どんどん自分も話して相手の反応を確かめる。
ぼんやりと、話し方・履歴書・自己PR・面接で見せるべき内容が感じられるはずです。

なお俗に「自己分析」などと言います、笑止です。これを簡単に言うのは自分自身の分析なんて大してやってこなかった人です。
かなり孤独な気持ちになる作業です、そうそう出来るものではない。

就職活動自体が孤独な作業ともいえます。少々リアリティに欠ける美談として周囲の人に助けられて、といった内容を見ますが実は家族・友人などもあまりあてになりません。
内面を指摘されるので喧嘩になる人のほうが圧倒的に多い。

こういった作業には助言者や相談相手よりも、むしろ「話の聞き手」を確保できることが大切と思っております。
特徴の4ならびに5のご紹介において、詳しく述べさせていただきます。

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